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小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一; 古澤 佳也*; 青木 瑞穂*; Shao, C.*; 横田 裕一郎; 坂下 哲哉; 松本 孔貴*; 柿崎 竹彦; et al.
宇宙生物科学, 18(4), p.235 - 240, 2004/12
銀河宇宙線のように、低フルエンス・低フルエンス率の高LET重イオン(粒子線)による生物影響を明らかにするためには、マイクロビームを用いた細胞照射実験が有効な手段となる。そこで、高エネルギー重イオンマイクロビームを顕微鏡観察下の生物試料に照射するために原研・高崎研・バイオ技術研究室で開発した細胞局部照射装置を用いて、哺乳動物培養細胞を個別に重イオンで照射・観察する実験系を開発した。標的細胞を貫通したイオンのエネルギーと個数をシンチレータ/フォトマルを用いて測定することによって、重イオンを1個ずつカウントしながら正確に照射することが可能となった。さらに、CR-39を直ちに37Cでエッチングして各標的細胞における実際のイオン飛跡を可視化すると同時に、その飛跡が可視化されたCR-39上で細胞の照射後培養と観察を継続する方法を確立した。国内外の重粒子線のマイクロビーム開発の歴史を概観し、細胞核へのシングルイオンヒット効果やバイスタンダー効果に関する最近の研究成果をレビューする。
小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一; 坂下 哲哉
宇宙生物科学, 18(3), p.186 - 187, 2004/11
銀河宇宙線のように、低フルエンス率の高LET重イオン(粒子線)による生物影響を明らかにするためには、マイクロビームを用いた細胞照射実験が有効な手段となる。そこで、原研・高崎研・バイオ技術研究室で開発した細胞局部照射装置を用いて、哺乳動物培養細胞を個別に重イオンで照射し、その影響を経時的に観察する実験システムを開発している。今回、照射前に試料を自動スキャンして細胞を検出するオフライン顕微鏡及び取得した座標データに従ってビーム位置に標的細胞を移動するオンライン顕微鏡の各々の試料ステージ更新し、従来は10m以上の誤差があった試料移動の位置再現精度が1mに向上したことにより、多数の標的細胞を次々に自動照準して連続的にシングルイオン照射することが可能になった。併せて、最近の細胞照射実験結果について報告する。
小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一*; 田口 光正; 渡辺 宏
Radiation Research, 161(1), p.90 - 91, 2004/01
低線量放射線の生物影響、特に低フルエンス・低フルエンス率の高LET重イオン(粒子線)による影響を明らかにするためには、マイクロビームを用いた細胞照射実験が有効な手段となる。そこで、高エネルギー重イオンマイクロビームを顕微鏡観察下の生物試料に照射するために原研・高崎研・バイオ技術研究室で開発した細胞局部照射装置を用いて、哺乳動物培養細胞を個別に重イオンで照射・観察する実験系を開発した。標的細胞を貫通したイオンのエネルギーと個数をシンチレータ/フォトマルを用いて測定することによって、重イオンを1個ずつカウントしながら正確に照射することが可能となった。さらに、CR-39を直ちに37Cでエッチングして各標的細胞における実際のイオン飛跡を可視化すると同時に、その飛跡が可視化されたCR-39上で細胞の照射後培養と観察を継続する方法を確立した。
小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一; 田口 光正; 渡辺 宏
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 210(1-4), p.308 - 311, 2003/09
重イオンマイクロビームは、放射線の生物作用研究のための新しいツールとして極めて有望である。原研・高崎研では、銀河宇宙線のような極低フルエンス高LET重粒子線の生物影響の解明、特にトラック構造の局所的エネルギー付与分布による影響をダイレクトに解析することを目指して、サイクロトロンから得られる比較的高エネルギーの重イオンマイクロビームを用いて哺乳動物培養細胞を個別に照射・観察する実験系を開発した。その結果、ArやNeなどの重イオン1個のヒットで細胞の増殖が強く抑制されることを見いだした。
小林 泰彦; 舟山 知夫
Isotope News, (590), p.2 - 7, 2003/06
マイクロビームによる局部照射は放射線の生物作用研究のための新しいツールとして極めて有望と考えられる。1個のイオン、特にネオンやアルゴンのような重イオンを1個、細胞に狙い撃ちして照射すると細胞がどうなるか。プロトンあるいはヘリウムイオンのような軽イオンの場合と異なり、重イオン1個のヒットで細胞は完全に不活化することが最近明らかになった。原研などで現在進行中であり、世界の各地でも計画が目白押しのマイクロビーム細胞照射実験について、その歴史と現状を概説するとともに、イオン1個のヒットが細胞に引き起こす現象について最近の成果を紹介する。
和田 成一; 夏堀 雅宏*; 伊藤 伸彦*; 舟山 知夫; 小林 泰彦
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 206, p.553 - 556, 2003/05
被引用回数:3 パーセンタイル:27.66(Instruments & Instrumentation)宇宙環境における高LET重粒子線被曝の生物影響を解明するためには、低線量・低フルエンスの重イオン照射によって細胞に誘導されるDNA損傷を正しく解析する必要がある。しかし、低フルエンスの重イオンはランダムにヒットするため、細胞に対する重粒子1個の生物学的効果を直接に検出することはこれまで困難だった。そこで、個々の細胞ごとのDNA損傷を評価することが可能なコメットアッセイ法を用いるとともに、同時に各細胞での重イオンのヒット位置を飛跡検出器CR-39を用いて直接に検出することが可能な方法を開発し、動物培養細胞の核にヒットしたイオン粒子数と、その細胞に生じたDNA損傷の程度を同時に検出する方法を確立した。そして、異なるLET値を有するいくつかの重粒子線照射によって細胞に誘導されたDNA損傷を定量的に解析し、照射したイオンのLET値との関連を解析した。
小林 泰彦
放射線生物研究, 37(1), p.67 - 84, 2002/03
マイクロビームによる局部照射は、放射線の生物作用研究のための新しいツールとして極めて有望である。原研・高崎研では、銀河宇宙線のような極低フルエンス高LET重粒子線の生物影響の解明、特にトラック構造の局所的エネルギー付与分布による影響をダイレクトに解析することを目指して、サイクロトロンから得られる比較的高エネルギーの重イオンを用いたマイクロビーム細胞照射実験系の開発に取り組んでおり、最近、ArイオンやNeイオンによるCHO-K1細胞の核への照射実験を開始した。マイクロビームによる細胞局部照射実験について、過去の数々の試みの歴史を紹介するとともに、特に粒子線マイクロビームを用いた最新の研究状況について述べる。
小林 泰彦; 田口 光正; 和田 成一*; 舟山 知夫; Khoa, T. V.; 神谷 富裕; 渡辺 宏; 山本 和生
JAERI-Review 2000-024, TIARA Annual Report 1999, p.48 - 50, 2000/10
自然環境中のラドンや宇宙環境での銀河宇宙線のリスクを評価するためには、低線量かつ低線量率のイオン照射の及ぼす生物影響を解明する必要がある。そのためには、従来のランダムな照射ではなく個々の細胞に照準を合わせた照射によって、究極的には細胞の特定部位へのシングルイオン照射効果を解析する必要がある。そこで、アパーチャー系でコリメートした重イオンマイクロビームを大気中に取り出して顕微鏡観察下の生物試料に照射することができる細胞局部照射装置を製作し、本装置の照準・観察系顕微鏡の対物レンズの位置にプラスチック・シンチレータを取り付けたフォトマルを取り付けた。このフォトマルで照射試料を貫通したイオンに由来する信号を検出し、その信号の波高値分布に適当なウィンドウをかけて照射されたイオン個数を判断し、設定値に達したところでビームシャッターを駆動して照射を終了するシステムを構築した。
渡辺 宏; 小林 泰彦
Isotope News, (549), p.2 - 5, 2000/02
マイクロビームは、生物試料の特定の領域をミクロンサイズで局部的に照射することによって、生体内で起こる機能変化を解析するための手段である。イオンのマイクロビームを用いれば、通常のランダムな照射実験では不可能だった、数々の重要な放射線生物学的諸過程の定量的解析が可能になると期待される。原研では、宇宙線の生物影響を解析する基礎研究と同時に、生物の機能解析プローブとして発生生物学などへの応用や、新しい細胞微細加工技術としてのバイオテクノロジーへの応用を目指して、サイクロトロンからの高エネルギー重イオンビームのマイクロ化を進めている。現在では、動物培養細胞の核の大きさに相当する5~10mまでビームを絞って照射できるようになり、哺乳動物細胞へのシングルイオン照射実験を開始したところである。また、信州大学と共同で蚕受精卵の発生・分化過程を解析する研究を進めており、受精卵の特定の部位をマイクロビームで局部照射し、その結果現れる形態異常を観察することで、受精卵における組織原基(細胞運命)地図を作成した。今後は、照射によって不活性化された細胞群と非照射の細胞との相互作用を調べ、発生過程における細胞運命の可塑性などを解析していく予定である。
小林 泰彦; 田口 光正; 渡辺 宏; 山本 和生
JAERI-Review 99-025, TIARA Annual Report 1998, p.50 - 52, 1999/10
動物培養細胞へのシングルイオン照射を行うには、大気中に取り出したイオンが標的となる細胞と培養液及びその容器、さらに飛跡検出用CR-39フィルムを貫通した後、イオンの入射個別を計数するプラスチック・シンチレーターまで届くだけの飛程を有していることが必要である。そのため、高崎研究所のサイクロトロンで得られる高エネルギー重イオンをコリメート系を通して大気中に取り出し、顕微鏡観察下の生物試料に照射することができる細胞局部照射装置を製作した。本装置の照準・観察系顕微鏡の対物レンズの位置にプラスチック・シンチレータを取り付けたフォトマルを取り付け、照射試料を貫通したイオンに由来する信号を検出することによって照射されたイオン個数を計測し、ビームシャッターを駆動して照射を終了するシステムを構築した。試料の位置でのイオンの飛跡のバラツキを厚さ10mのCR-39フィルムを用いて調べたところ、約10mの範囲に集中して照射されていることがわかった。